映像の極致とストーリの必要性、『ゴジラVSコング』について
去る7月5日(去ってから一ヵ月近く経ってるね)、『ゴジラVSコング』を観てきたので、その感想文です。
いわゆるモンスター・ヴァースシリーズの最新作、タイトルから想像できるように、ゴジラとコングがついに決戦!ストーリーについて説明する手間が省けてイイね!
でも、今回の映画で一番強く思ったのがストーリにまつわる意義的なものなので、なかなか因果なのかもしれない。
映像の極致
まず一番最初に言っておきたいのが、やはり映像について。
最初からわかりきっていたことだけど、とにかく映像がすごい。
すごいなんてもんじゃない。やばい。やばすぎてやばい。ほんと、この時代に生まれてよかった。
映像が大迫力だから、もちろん音も大迫力の方が良い。要するに、映画館で観た方が絶対に良い作品。というか、家で観ても意味がないとまで言ってしまいたくなるほど、とにかく映像がすごい。細かいことはよくわからないけれど、これはもはや一つの極致と言ってしまってもいいのではないか。
ということで、ストーリーがあってもなくても良いと思えるくらいに、映像が最高でした。もはやどんなにストーリーが薄っぺらくても、この映像でゴジラとコングが大暴れしてたら百点満点なんすよ。
メカゴジラ問題
とはいえ、ストーリーだってもちろんあるのだから、そこにも言及しておきたい。
そもそも、映画のタイトルを見た時点でゴジラとコングが戦うのは確定。
そして、ざっくばらんなイメージで言えば、ゴジラもコングも人間の味方だから、「どうしてそうなるのだろう」というのが最大の引きである、気がする。
・本来温厚なはずのゴジラが怒る→多分また人間の業による案件だろうなぁ。
・髑髏島に住んでいるはずのコングと戦う→コングが髑髏島から出るってこと?
・どうしてコングが髑髏島から出ていく?→どうせ人間の業による案件だろうなぁ。
・勝敗はどうなる?→どっちにも負けてほしくないから、多分共通の敵が出てくるのだろうなぁ。
みたいなことを観に行く前は考えていたのだけど、案の定ドンピシャで、その敵役がメカゴジラでした。
わかりきった展開の中に意外性を持たせるという意味でも、歴代ゴジラ作品リスペクトの意味でも、メカゴジラを敵役にすることと、それを公開まで秘匿しておくことはかなりイイ感じだったように思う。
怪獣の王であるゴジラと、無敗のコングがタッグを組む相手が人間の生み出した兵器(人間の業)であることには、キャラクター性との矛盾もないような気がするし。
メカゴジラのビジュアルも、コワキモかっこいい感じですごくよかった。(あくまで個人の感想です)
小栗旬問題
映像が最高で、ストーリーの組み方も問題がない本作。その最大の論点となるのが、小栗旬問題ではないだろうか。
前作でゴジラを助けるために死んだ芹沢博士(渡辺謙)の息子役で登場した小栗旬。ただ、父との確執や、ゴジラに対する感情などはほとんど描かれることないまま、メカゴジラに搭乗して白目を剥いてしまうという超絶展開に。
小栗旬がハリウッドデビューということで注目していた人たちは、まさか明確な脈絡もなく小栗旬が白目を剥くことになるなんて思ってもみなかっただろうね。
「小栗旬の無駄遣い」と言われても仕方ない、ような気がする。
個人的には、小栗旬に特別な思い入れはないので何とも思わなかったけれど、芹沢博士に対しては特別な思い入れがあったので、納得いかない点も。
どうして小栗旬は、父が命を懸けてまで助けたゴジラを殺そうとしたのだろうか。
もちろん、言い換えればゴジラは父の仇だし、町を破壊している時点で人類の敵とみなされるのはわからないでもないけれど、それでも父の想いを少しは汲もうと思わないのだろうか。
正直、この辺を加味すれば小栗旬のキャラクターにもっと意義を持たせれたのではないかと思えてならない。
父の想いを汲みつつも、人類の為にゴジラを滅ぼさなければならない葛藤を描くとか、
それでも父を奪ったゴジラを許さない、と憎悪を向けるとか。やりようはいくらでもあっただろうに。(この感想文を書くにあたってWikipediaを見てみると、どうやら小栗旬の出演シーンが大幅にカットされているらしいので、大人の事情があるのかも?)
先にも述べたけど、こんなに映像が百点満点なので、もはやストーリーなんてあってもなくても良い、と個人的には思っている。
でも、それでもストーリーがしっかり詰まっているのは加点対象でしかないのだから、そこまで楽しめたら尚よかったと思えてならない。(その観点で言えば、髑髏島の巨神は本当に百点満点中の百点満点だった)
個人的感想とか
・個人的に一番感動したのは、ゴジラVSコングの構図に明確な勝者を作ったこと。
メカゴジラという共通の敵の存在を使えば、ゴジラとコングの戦いに勝敗を付けないことだってできたはずなのに、本作は明確にコングが敗北したことを象徴するシーンを入れてきた。
ここは賛否が分かれるのかもしれないけれど、個人的にはめちゃくちゃ良かったと思う。『ゴジラVSコング』という映画から逃げなかった、と言ってもいいかもしれない。
・コングの武器が、ゴジラの放射熱線で強化されるという設定。
これもめちゃくちゃアツかった。ゴジラの熱線はめちゃくちゃ強力だし、遠距離攻撃だから、それだけでもコングはめちゃくちゃ不利。
でもあの武器のおかげで、武器を使うことができる知能と手先の器用さ、放射熱線対策、物理防御が高いゴジラに対する攻撃手段など、あらゆる角度からコングとゴジラの格差をなくしてくれていたように思う。それでいて、ゴジラとコングが先祖代々戦っていたという設定にも矛盾しない。この武器を思いついた人、多分天才だ。
さらにダメ押しと言わんばかりに、メカゴジラと戦うときにゴジラが熱線でコングを強化してくれるという構図まで成り立ってしまった。ゴジラの熱線を受けた斧を振りかぶってメカゴジラに立ち向かうシーン、心の中で「いっけぇーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」と叫んだ男性は少なくないのではないだろうか。
総括
『ゴジラVSコング』、めちゃくちゃいい映画だった。これぞ映画。
ただ、やっぱりストーリーがなぁ、という印象はぬぐえない。同じモンスター・ヴァースの髑髏島の巨神がそれを満たしていた故に、余計にその印象が強く残った。
まぁ映像が最高なんで、百点なんですけどね!はい!百点満点!最高!